Old Tackle

allcock

ALLCOCK STANLEY オールコックスタンレー、個人的にリール史上モウスト好きデザイン。1930年代(1928年?)にイギリスで発売されたスピニングリール。

 

円盤状のつや消しの金属の質感に、あたたかみのある大きめのハンドルノブと、棒状ベイルがアクセントになって、曲線の優美さ、ユーモラスな美しさ、そして気高さを併せ持っているような、非常に洗練された印象だと思います。
ボディとスプールのバランスが、オーディナリー型とよばれる、極端に大きな前輪と小さな後輪の古い自転車のような雰囲気です。ラインは金属棒の先端のカギ部分に引っ掛けます。ハンドルを回すと金属棒が連動して上下にピストンし、ラインを均一に巻き取るしくみです。のんびりおおらかにくるくるくるくる・・・楽しい気持ちも一緒に廻ります。


トップの冊子は1937-38年のオールコック社のフィッシングガイドブック(カタログ)。ライトキャスティングリールとして、サーモン・パイク・トラウトフィッシングにどうぞと紹介されています。
また、別で見た当時の広告では「たった22/6シリング?を投資すれば、ラインブレイクを恐れることなく魚を仕留められるよ!遠投もできるぜ!世界最古&世界最大の釣り具メーカー、オールコックより」と自信満々に謳われています。


ボックスのデザインもいくつかあります。画像では分かりにくいですが、地文様になっていたり、ワニ革型押しのような柄になっていたりして凝っています。オールコック社のトナカイマークもとても可愛いし…。私にとっては本当に魅力的なリールです。
オールドリールのバイブル「ベールアームは世界を回る」(國吉昌秀著・つり人社)の中でもこのリールは当時の時代背景なども含めページを割いて詳しく紹介されています。


これって機能美なのだろうか?なんてずっと疑問に思っています。
釣り道具として使いやすいギアや回しやすいノブを追求していった結果がこの形なのか、それとも当時もデザイナーのような人がいて機能面と意匠面と両方を考えながら制作していたのだろうか?
昔ある有名デザイン事務所の先生に「デザインというのは必ず古びてしまうものです」と伺ったことがありました、また別の建築士の方は「なんとかずっと古びないデザインの建物を作りたい」ともおっしゃっていました。
釣り道具だけでなく、車やカメラなんかも発表されたときは最新鋭でとても格好よく見える、で、何年か経つとだんだんとなんとなく古臭い感じになっていく、で、さらに40~50年くらい経つとレトロで可愛い!ってなる、そして、100年とか200年とか経ってくると歴史的な付加価値もついて美術品の域になりトランプの柄になったり、博物館に飾られたりする。
このまんまるい金属は存在としてただ美しく、しかも魚を釣ることができる機能をもっている。みたいな。


なんだろう、糸の色が絶対違う気がする。