Old Tackle

c.a.p

Mitchell C.ap cap 304 リール fishing reel

なんでだろうと自分でも不思議なのですが、兎に角まんまるいスピニングリールが大好きです。
オールドリールの世界には様々な国の様々な種類のまんまるリールが数えきれないくらい存在しています。


中でも有名なのはやっぱり Mitchell ミッチェルの名作304シリーズ(前身モデルはC.A.Pというシリーズ)かなぁと。
小さなボディーにおふらんすのエスプリをギュッと詰め込んだとってもお洒落なデザインです。
個人的にはハーフベイルまでのものが特に好みで、ラインをフリーにするときの角みたいなベイルが威嚇しているみたいに大きく広がる感じや、そうかと思うと逆にとても滑らかに上品に角を仕舞うような感じにとても惹き込まれます。


304シリーズの源流・原点ともいえるリールは、フランスのアンジェにあった釣り具メーカー La Canne à Pêche(カンヌアペーシュ)社が1930年代終わり頃に発売したPECOS (ペコス)です。カンヌアペーシュ社が新しいスピニングリールを開発するにあたり、製造を委託したのが当時時計工場だった Mitchell の前身の会社 Carpano&Pons (カルパノ&ポンズ)社だったようです。
このペコスリールと、次にもうひとつ発売されるCAP2というリールを経たのちに、カルパノ&ポンズ製のC.A.Pリールが発売されます。
C.A.Pは Carpano&Pons (カルパノ&ポンズ)の頭文字と記載してあるものと、La Canne à Pêche(カンヌアペーシュ)の頭文字と記載してあるものと両方を見たことがあります。流れ的にはCanne à Pêcheっぽいですがどうでしょうか。


304の前身となる1940年代頃のC.A.Pリール。
発売当初のC.A.Pリールは改良が頻繁に行われ、わずかに仕様が異なるモデルが多く存在しているようで、コレクターによりモデルの分類が異なるためきちんと何代目のモデルというのはわかりません。写真のリールは比較的初期のタイプで、ボディーの中央部分がドーム状に盛り上がっており、アンチリバースもありません。


少し後年、1950年頃のモデル。アンチリバース機構が組み込まれます。スライド式の丸い部品です。
内部のベイル機構はとてもシンプルです。また古いモデルのプレートは細部まで凝っていて MADE IN FRANCE の刻印があります。雰囲気の良いコルクを巻いたシャロースプールも付属していましたがオリジナルかどうかはわかりません。
ミッチェルはおそらく戦後の1940年代終わり頃から、自社開発の卵型ミッチェル(300)とカンヌアペーシュ社の流れをくむこのC.A.Pリールを2大看板として成長していったのだと思います。


さらに後年のモデル。ボディーのふくらみがなくなり、304と共通のアンチリバーススイッチとなります。外部のカウンターウェイトもなくなります。
おそらくハーフベイルはここまでで、この後のモデルからはフルベイルとなり、シリーズ名もC.A.Pから Mitchell CAP304 、 Mitchell 304 へと変わっていきます。金属製のノブもこのモデルか直後のモデルくらいからプラスチックに変わっていったのだと思います。


参考文献はこちら。
初期ミッチェルの歴史などをまとめたコレクター本、 “The Early Years of the Mitchell Fishing Reel” 。
105部限定(5部は関係者用で一般販売は100冊)で著者のサインとシリアルナンバーが入っています。
日本語版の普通に印刷したソフトカバー本も作ってくれたら嬉しいのに。


こちらはフルベイルになった後、1958-67年頃に発売された右巻き仕様の315。305の上位機種です。


まんまるミッチェルの品番には、「304」「305」「304s」「314」「315」「340」などがあります。
CAP304と刻印されたものや、欧州仕様のハンドルが緑のもの、アメリカ発売の黄色いGarciaシールの付いたもの、オランダ発売のAlbatros刻印のもの、ドイツ発売のBalzer刻印のものなどバリエーションも豊かです。

【304&305】
1953-72年 一番多くみられる品番。ハンドルやアンチリバースの切替ノブのデザインもとてもお洒落。4と5の違いはハンドルが左巻きか右巻きかの違いで、右巻きの305の方が少ないです。304は299万台、305は1955-70年で30万台くらいの生産みたいです。

【314&315】
1958-72年 304の上位機種で、スプール着脱がワンタッチで出来たり、ハンドルが反対向きに収納できたりします。この機種の登場をきっかけに、314&315が上下に動きながら糸を巻き取る遊星ギア(プラナマティック機構)、304&305が1:1のノーマルギア(クロスワインド)になったようです。
*旧304は遊星ギア
*こちらも右巻きの315の方が圧倒的に少なく、314は46万台、315は1958-67年で3万台くらいの生産みたいです。

【304s】
1970-73年 304sはスプールが304でハンドルが314のもの。ギアはノーマルです。生産台数は8万台くらいのようです。

【340】
1967-74年 304の後継機。プレートも刻印からプレートに変わっています。ドイツ発売のボディーが緑色のものもあります。生産台数は9万台くらいのようです。



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